企業データのコンプライアンス対策と保存方法

長期化・大容量化する企業データのコンプライアンス対策と保存方法

2021.01.15 公開
企業活動で作成される様々な文書(データ)には法律で保存期間が定められているものがあり、これらを法定保存文書といいます。 法定保存期間は文書によって様々ですが、長いものだと永久保存しなければなりません。 また、法定保存期間を過ぎても必要に応じて長期保存しなくてはならないものもあり、企業の保存データは年々増大化しています。 更に法定保存文書に指定されていないデータでも長期アーカイブが必要なものは多数存在します。
このように、企業が長期にわたり保存すべきデータは膨大です。 本記事では法定保存文書の種類や保存期間、最適な保存方法などを紹介します。
INDEX
1.主な法定保存文書の法定保存期間
2.業種ごとの長期保存データと保存目的・容量
3.特に容量の大きな長期保存データ
4.データの長期保存に最適な磁気テープ
5.オフライン保管の利点
6.データ改ざん・削除防止 WORM機能

1.主な法定保存文書の法定保存期間

法律で保存期間が定められている法定保存文書の種類と保存期間を紹介します。
総務・庶務関係
定款、株主名簿、新株予約権原簿、端株原簿、社債原簿、株券喪失登録簿 永久保存
登記済証(権利証)など登記・訴訟関係書類 永久保存
官公署への提出文書、官公署からの許可書・認可書・通達などで重要な書類 永久保存
知的所有権に関する関係書類(特許証・登録証、特許料・登録料の受領書など) 永久保存
社規・社則およびこれに類する通達文書 永久保存
効力の永続する契約に関する文書 永久保存
社報、社内報、重要刊行物 永久保存
製品の開発・設計に関する重要な文書 永久保存
株主総会、取締役会、監査役会の議事録 10年
重要な会議の記録 10年
満期や解約となった契約書 10年
製品の製造、加工、出荷、販売の記録 10年
事業報告(本店備え置き分。支店備え置き分はその謄本を3年保存) 5年
有価証券届出書・有価証券報告書およびその添付書類、訂正届出(報告)書の写し 5年
産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写し 5年
産業廃棄物処理の委託契約書 5年
契約期限を伴う覚書・念書・協定書など 5年
産業廃棄物処理の委託契約書 5年
重要な内容の発信・受信文書 5年
四半期報告書、半期報告書およびその訂正報告書の写し 3年
官公署関係の簡易な認可・出願等の文書 3年
業務日報、社内会議の記録、軽易な契約関係書類、参照の必要性のある文書など 3年
労働者名簿、社員出勤簿、雇入れ・解雇・退職に関する書類 3年
当直日誌 1年
住所・姓名変更届 1年

経理・税務関係
計算書類および附属明細書(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表) 10年
会計帳簿および事業に関する重要書類(総勘定元帳、各種補助簿、株式申込簿、株式台帳、配当簿など) 10年
取引に関する帳簿(仕訳帳、現金出納帳、固定資産台帳、売掛帳、買掛帳など) 7年
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、給与所得者の配偶者特別控除申告書、保険料控除申告書 7年
源泉徴収簿(賃金台帳) 7年
退職等に関する通知書 5年
監査報告・会計監査報告 5年

人事・労務関係
重要な人事に関する文書 永久
従業員の身元保証書、誓約書などの文書 5年
雇用保険の被保険者に関する書類、同資格喪失確認通知書 4年
労働者名簿 3年
雇入れ・解雇・退職に関する書類 3年
労災保険に関する書類 3年
休暇届、欠勤願および休暇使用記録票 1年

2.業種ごとの長期保存データと保存目的・容量

法定保存文書に限らず、企業が長期保存すべきデータは業種により多岐にわたります。 業種ごとにどのようなデータがどのような目的でどのくらいの期間保存されているのか、一例を紹介します。

データ種類 目的 容量 保存期間
建設工事/竣工 コンプライアンス 1~2GB程度/工事 10-15年保管(法令)
建設工事/現場 証拠保全 100GB~2TB/工事 30年~永年保管
製造品証 証拠性保全 毎月数TB 自動車部品15年以上
開発 品質不良対策 TB~PB 内部規定
学術研究 証拠性保全 10GB程度/研究 10年間保管(文科省)
手術記録 証拠性保全 TB~PB 刑事訴訟法20年
創薬/治験 コンプライアンス 100GB程度 30年(厚労省)
創薬/R&D 品質不良対策 TB~PB 社内規定
石油探査 資産保存 数TB 社内規定
ファイルサーバ 効率化 2~3割がコールド 消せない
社員PC 効率化 特に管理者・経営者 消せない
電子化文書 働き方改革   消せない

3.特に容量の大きな長期保存データ


デジタル技術の進歩もあり、近年ますますデータ容量が大きくなっているのが映像データです。 上記の例にあるように医療現場での手術記録などが該当するでしょう。 他にも監視カメラ映像のデータや、ポスプロ等の映像制作現場、通信学習向けの講義映像など、日々生産・蓄積されるデータは膨大な量になります。
このようなデジタル映像データのほとんどは、作成後日常的に使用することは少ないものの長期的且つ安全に保存しなくてはなりません。 HDDにアーカイブし、容量が足りなくなる度に買い足すといった方法をとっていても保管スペースや管理面でいずれ破綻してしまうでしょう。 大容量で大量に生産されるコールドデータの保存方法に課題を抱えている企業は少なくありません。

4.データの長期保存に最適な磁気テープ

LTO

「LTO(Linear Tape-Open)」は、コンピュータ用磁気テープ技術のひとつで、各種ストレージの中でも容量単価が低く大容量。 大量のデジタルデータの長期保管に向いています。 現在LTO8まで製品化されていますが、社団法人電子情報技術産業委員会(=JEITA)が行ったLTO7メディアの寿命推定検証により、 通常の保管環境であれば50年以上の保存性が結論付けされています。

LTOは、ドライブにメディアを挿入して読み書きを行いますが、メディアは手のひらサイズでオフラインで棚保管が可能なので保管スペースも取りません。 省スペース・低コスト・大容量・長期保存性といったメリットから、特にコールドデータのアーカイブ向けに需要が高まっており、多くのテレビ局や映像制作現場、研究機関、医療現場などで導入されています。

5.オフライン保管の利点

LTO

例えばクラウドサービスを使用してデータ保存をしていた場合、提供事業者側での障害によるデータ損失や、ユーザー側の過失によるデータ損失、サイバー攻撃等のリスクがつきまといます。クラウドのデータもサードパーティー製のバックアップサービスでデータ保護を行うよう推奨されています。
更に保存データが大量に発生するような業種でのクラウド利用はコスト面や転送速度面でデメリットになる可能性があります。

LTOであればテープメディアにデータをアーカイブ後はオフラインで長期保管できるので、データ損失やサイバー攻撃を防ぐことが可能です。 HDDだとオフラインで長期間放置してしまうとヘッドの癒着などで読み込み不可になってしまうことがあるため、たまに通電させる必要がありますが、 LTOは磁気テープなので、通常の保管環境であれば数十年棚保管しても安全性が保たれます

6.データ改ざん・削除防止 WORM機能

WORMとは、一度書き込んだデータの消去・変更ができない追記型の記憶方式でWrite Once Read Manyの略です。LTO第三世代(LTO Ultrium3)からWORMに対応しています。

WORM対応ドライブに、WORM専用カートリッジ(通常のデータカートリッジとは異なる)を使う事で機能します。
操作ミスまたは故意によるデータの改ざん/削除を防げるため、効率的かつ安全な長期保存、コンプライアンス対応、セキュリティ強化に有効です。

LTO WORM カートリッジ一覧

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