<テープで実現>安価×セキュアなS3互換のオブジェクトストレージ

<テープで実現>安価×セキュアなS3互換のオブジェクトストレージ

2022.01.12 公開
富士フイルムから発売された、オブジェクト形式のストレージを磁気テープで実現するソフトウェア「FUJIFILM オブジェクトアーカイブ」を紹介します。

近年、企業の保有データが爆発的に増加する中、災害対策(BCP対策)やランサムウェアなどのウイルス対策、またビッグデータの再活用などのため低料金且つ信頼性の高いデータ保管が課題となっています。
ここ数年でクラウドを活用する企業が増加し続けるする一方で、データ移動やダウンロードの費用が高額になったり、想定していた費用対効果が得られないという理由からオンプレミス基盤を再検討する企業も増えています。
FUJIFILM オブジェクトアーカイブは、S3互換APIで「オブジェクトストレージ」と「テープストレージ」を連携し、オールクラウドやオールディスクのストレージと比べて圧倒的なコストメリットを生み出します。
INDEX
1.オブジェクトストレージとは
2.FUJIFILM オブジェクトアーカイブ
3.テープストレージの圧倒的コストパフォーマンス
4.物理隔離「エアギャップ」によるセキュリティ強化

1.オブジェクトストレージとは

オブジェクトストレージとは

そもそもオブジェクト形式のストレージとはどのようなものでしょうか。
その特徴や利点を紹介します。

特徴
オブジェクトストレージとは、データをファイル単位ではなくオブジェクト単位で保存するストレージです。
オブジェクトには一意のID(URI)が付与され、データ本体とデータの属性を表す任意の付加情報(メタデータ)で構成されています。
ファイルストレージのようにディレクトリやフォルダといった階層構造をもたず、全てのオブジェクトは「バケット」という巨大な記憶領域にフラットな状態で格納されます。

オブジェクトストレージを提供するサービスとしては、AWSの「Amazon S3」、Googleの「Cloud Storage」などのクラウドベンダーが有名ですが、 特にAmazon S3はその代表格であり、事実上の業界標準といった位置付けとなっています。
そのため、他社の扱うオブジェクト形式のクラウドストレージやオンプレミス向けのオブジェクトストレージ製品は、Amazon S3と連携することのできる「S3互換API」を採用しているものがほとんどです。
このように、オブジェクトストレージサービスや製品の互換性により、場所を問わずデータを保管・一元管理することが可能となりビジネス環境の変化に伴い保管場所を変えたり拡張したりすることができるのです。
利点
ファイルストレージは非常に扱いやすく、ファイルサーバやNASなど現在最も多く利用されているストレージ形式ですが、システム全体でのファイル数には上限があります。
そして、この上限を増やそうとするとディレクトリ・ファイル管理のための情報量が増え、実効容量やパフォーマンスに悪影響を及ぼしかねません。

一方オブジェクトストレージは、バケットの容量や保存できるオブジェクト数に制限がないため、データが増大しても容量不足を気にせず使用できるというのが最大の利点です。
データはIDと紐づいており、ユーザーは格納場所を意識することなくデータの保存や呼び出しを行うことが可能です。
更に、データにはカスタマイズ可能なメタデータを豊富に付与することができるので、様々な角度からデータを検索することができます。

2.FUJIFILM オブジェクトアーカイブ

オブジェクトアーカイブとは

FUJIFILM オブジェクトアーカイブは、オブジェクトストレージを磁気テープで実現するソフトウェアです。
業界標準のS3互換APIで、オブジェクトストレージのサービスやアプリケーションとテープストレージを連携できるようにし、 多くの企業の課題である「データ活用」のためのストレージを実現します。
安価でセキュアなテープストレージのメリットとオブジェクトストレージの利点を掛け合わせた、新しいデータ保管方式です。
S3 互換API
S3互換APIを実装する様々なオブジェクトストレージやアプリケーションとシームレスに連携し、企業データの一元的なデータ管理を可能にします。
OTFormat
「OTFormat」は富士フイルムが開発したオープンなテープフォーマットで、テープへのデータ書き込みを効率化します。
Region機能
データを複数の「Region」(仮想領域)に分けて管理することができます。Regionごとにテープを割り当て、データの複製数を設定できるので部門別のデータ管理が可能です。
WEB GUI
ユーザー管理、システム管理、テープ管理をWeb GUIで簡単に行えます。
スケールアウト
論理サーバを最大64台まで拡張可能(最大1280億オブジェクト保存可能)。サーバのスケールアウト構成によりパフォーマンスも向上します。
耐障害性
一つの論理サーバに対し、稼働とスタンバイの2台の物理サーバを配置。稼働サーバ障害時はスタンバイサーバを稼働することで、ダウンタイムを低減します。
オフライン保管
テープカートリッジをライブラリから取り出しオフラインでデータ保管・管理が可能。エアギャップ環境を実現し、サイバー攻撃リスクを回避できます。
マイグレーション
テープカートリッジの世代間マイグレーションをバックグラウンドで自動実行します。大容量データの安全な長期保管に伴う作業を大幅に削減します。
レクラレーション
データの削除などで利用できない容量ができたテープから、有効なデータのみを別のテープに書き出します。元のテープは再フォーマットの上、全容量を再利用できるようにします。

3.テープストレージの圧倒的コストパフォーマンス

記録メディアのコスト特性

企業が保有するデータ量が年々飛躍的に増加している中で、拡張性に優れ大量のデータを安価で安全に保存できるオブジェクトストレージは現在多くの企業に利用されています。
企業がオブジェクトストレージを利用する選択肢は、クラウドストレージかディスクシステムの導入などが一般的でしたが、テープストレージという新たな選択肢をもたらしたのが「FUJIFILM オブジェクトアーカイブ」です。

磁気テープを記録媒体とするテープストレージは容量単価が非常に安価なため、クラウドやディスクなどのストレージや記録媒体の中でも圧倒的なコストパフォーマンスを発揮します。
LTOをはじめとするテープストレージは、企業が保有する大量のコールドデータのアーカイブ用途としての地位を獲得しており、現在も導入企業は増え続けています。

FUJIFILM オブジェクトアーカイブは、現在オブジェクトストレージを利用している企業であれば同じデータ形式のままテープストレージをアーカイブ層として運用できるようになります。

4.物理隔離「エアギャップ」によるセキュリティ強化

テープストレージによるエアギャップ

新型コロナウイルスの流行によるテレワークの定着やネット利用の増加に伴い、2021年にはサイバー攻撃とみられる不審なインターネット接続が 過去最多の1日平均6506件(前年比55%増)にも上ることが警視庁の調査で明らかになりました。

ユーザーが多種のクラウドサービスを利用するマルチクラウド環境が当たり前になり、企業のセキュリティーリスクは拡大する一方です。
中でも世界中の企業に甚大な被害をもたらしているのが、コンピュータのデータを全て暗号化し使用できなくした上で、データと引き換えに高額な身代金を要求してくるランサムウェア
ランサムウェアは、感染したコンピュータだけにとどまらず、物理的に接続されているストレージ、ネットワーク経由でアクセス可能な全てのストレージを次々に暗号化します。
パブリッククラウドのオンラインストレージでも、コンピュータのネットワークドライブとして書き込み可能な状態であれば、暗号化されてしまう可能性もあります。

このような手口のサイバー攻撃からデータを守るのに有効とされているのが、物理的な隔離「エアギャップ」です。
テープストレージはデータをオフラインで保管することができるため、重要なバックアップデータをエアギャップで攻撃から守り、 万が一ランサムウェアの被害にあってもバックアップデータから復元すれば、企業データの消失といった最悪の事態を回避することができます。
更に、ディスクイメージのバックアップデータだけでなく重要なデータを物理的に隔離保管しておくことで、長期潜伏型や遠隔操作型といった新種のランサムウェアへの対策効果は高まります。

FUJIFILM オブジェクトアーカイブをストレージ基盤に組み込み、テープストレージとの連携を実現することで、安価でセキュアな大容量データ基盤を実現できます。
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