<ペタバイト時代へ>LTO最新ロードマップ 14世代までの計画を発表

<ペタバイト時代へ>LTO最新ロードマップ 14世代までの計画を発表

2022.09.30 公開
2022年9月6日、LTOプログラムテクノロジープロバイダー企業であるHP Enterprise、IBM、Quantumは LTO-14 までの最新ロードマップを発表しました。
現在 LTO-9 まで製品化されており、今後 5世代分の計画が明らかになったわけですが、LTO-14 はテープあたり最大 1,440TB(圧縮)を実現し LTO-9 の 32倍にもなります。
いよいよペタバイトの時代が見えてきたところで、新しいロードマップと市場の需要と動向、テープが使われ続ける理由なども併せて紹介します。
INDEX
1.LTO-14まで拡張された最新ロードマップ
2.LTO市場の需要と動向
3.「テープ」が使われ続ける理由とは

1.LTO-14まで拡張された最新ロードマップ

LTO ロードマップ

LTO プログラムの最新ロードマップでは、第14世代までの仕様が定義されています。
今から約20年前、カートリッジあたり最大 200GB(圧縮)の容量をもつ第1世代の LTO Ultrium が初めて製品化されました。
それから現在、第9世代まで製品化されていますが、容量は最大 45TB(圧縮)、転送速度は最大 750MB/秒(圧縮)を実現し、時代とともに着実に進化し続けています。
ギガバイトあたりの容量単価が他のストレージと比較すると非常に安価であるテープは、オンプレミスとクラウドの両方での長期データアーカイブに最適なストレージメディアとしての地位を確立しています。

IBM のストレージ製品管理担当副社長である Sam Werner 氏は次のように述べています。
「現在、第14世代まで仕様が定義されているため、LTOテープは、急速かつ加速するデータの増加をサポートする態勢が整っています。重要なビジネスデータを保護および保存するための、持続可能で信頼性が高く、低コストのソリューションを組織に提供します。」

容量と機能の進化
現行世代で最新の LTO-9 は、1巻あたり最大 45TB(2.5:1 圧縮時)の容量になります。
また、ハードウェアベースの暗号化による多層セキュリティサポート、WORM(追記型)機能、LTFS(リニアテープファイルシステム)の サポートなどの機能が含まれており、下位世代 LTO-8 の読み書き完全互換となっています。
特に、OSのファイルシステムと同様に直感的操作が可能な LTFS機能により、膨大なデータを有するテレビ局やポストプロダクションなど映像系業界のデータアーカイブ需要にマッチし、支持を得ています。
パフォーマンスの向上
LTO-9 は容量だけでなくパフォーマンス性能も向上し、圧縮転送速度*最大 750MB/秒となっており、 より大容量なデータを高速で書き込み可能になります。
増え続けるデジタルデータの長期保管を行う上で、限りあるフロアスペースを圧迫させることなく省スペースで効率的にアーカイブを行えます。

*フルハイト(FH)での転送速度は最大1,000MB/秒(圧縮時)です。圧倒的にユーザーの多いハーフハイト(HH)での転送速度が最大 750MB/秒(圧縮時)となります。

2.LTO市場の需要と動向

IDC のリサーチ バイス プレジデントである Phil Goodwin 氏は次のように述べています。
「IDCのデータによると、LTO などをはじめとする磁気テープ市場は 2021年に前年より 10.5% 増と堅調な成長を遂げています。 この背景には、大量のデータを低コストで保存でき、ランサムウェアの脅威からデータを保護できるテープは、データセンターを消費電力の少ないグリーンテクノロジーに移行するニーズに後押しされています。 さらに、データ量は 2~3 年ごとに倍増し続けています。マルチペタバイトの実装は一般的になりました。カートリッジあたり 1PB を超える圧縮容量を備えた第14世代までのこの LTO ロードマップは、 今後何年にもわたって組織の大容量ストレージのニーズを満たすために、LTO テクノロジがどのように進歩し続けるかを示しています。」

2021年にLTOテープメディアの出荷容量は過去最高を記録しました。
LTO がもつ様々な特性により、LTO への関心が高まり、新たに導入する企業が増えているのだと LTO プログラムは説明しています。

LTO の特性で最も関心が高まっているのは、ランサムウェアをはじめとする様々なマルウェアの脅威から、エアギャップ(ネットワークから隔離して保管)による保護を可能にする点でしょう。
また、容量単価が他のストレージに比べ圧倒的に低い点、数十年もの長期保存性・耐久性という点で高い信頼を得ています。

3.「テープ」が使われ続ける理由とは

磁気テープと聞くと、団塊ジュニア/就職氷河期以前の世代からすると子供~若かりし時代に生活に溶け込んでいたカセットテープやVHSを思い浮かべます。
実際「あ~、あったな」と懐かしく思うものですが、同時にアレは時代遅れの廃れた代物であると認識しています。

ところが実は、データストレージの分野ではまだまだ現役で進化し続けていることは、LTO ロードマップが示している通りです。
HDD や SSD、クラウドストレージなどはアクセス頻度が高いホットデータの保存にはとても便利です。
しかし企業や組織が保有するデータのうち50~80%は、アクセス頻度の低いコールドデータだと言われています。
そしてコールドデータは日々増え続け、いずれ膨大な量になっていきます。
磁気テープがもたらすメリットが、こうしたコールドデータ保存の課題を解決し、右肩上がりの成長を遂げています。

「テープ」が使われ続ける理由として、4つのポイントを紹介します。
セキュリティー対策
LTOのオフライン保管
磁気テープは、ドライブから取り外してオフラインで保管できるという特徴があります。
つまり、ネットワークから切り離してエアギャップを実現することで、重要なデータをサイバー攻撃から保護することができるのです。
エアギャップは、保護対象のデータをネットワークから物理的に隔離することで成立する、サイバー攻撃対策として非常に有効な手段です。

近年は特にランサムウェアによる被害が世界中で増加傾向にあり、日本でも企業や組織での被害が相次いでいます。
特に新型コロナウイルスのパンデミック以降、テレワークなどの脆弱なセキュリティーが狙われ被害件数は急増しました。
こうした背景から、ランサムウェア対策に向いている磁気テープが再注目されているのです。

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バックアップ
バックアップの「3-2-1ルール」
どんな企業や組織でも、データのバックアップは実施していることでしょう。
バックアップは、あらゆるデータ消失リスクを想定し対策を行うことが重要です。
バックアップデータをいくつ作成するべきか、どこに、どのように保管するべきか、これらをルール化したものを「3-2-1ルール」といいます。

● データは少なくとも「3つ」持つ
● コピーを「2つ」の異なる媒体に保存する
●「1つ」のバックアップをオフサイトに保管する

これを拡張した「3-2-1-1ルール」では、更に「1つのコピーをオフラインで保管する」ことが推奨されています。
これは上述したように、ランサムウェアなどのセキュリティー対策も考慮したものです。
バックアップ先の一つに磁気テープを選択することで、これらのルールを満たすことができます。

磁気テープは元々、バックアップ媒体として広く普及していましたが、様々なデータ消失リスクのある現代のニーズにもマッチしていると言えるのではないでしょうか。

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省スペース・低コスト
長期化・大容量化する企業データのコンプライアンス対策としても、磁気テープは非常に優秀です。
法定保存期間は文書によって様々ですが、長いものだと永久保存しなければなりません。
また、法定保存期間を過ぎても必要に応じて長期保存しなくてはならないものもあり、企業の保存データは年々増大化しています。

まず磁気テープである LTO データカートリッジは、最新の LTO-9 だと 1巻あたり最大 45TB(2.5:1 圧縮時)と大容量な上、手のひらサイズでかなり小型です。
ドライブから取り出して棚保管ができるので、保管スペースを削減できます

また、各種ストレージの中でも容量単価が低く、大量のデジタルデータの長期保管に向いています。
省スペース・低コスト・大容量な磁気テープは、近年は特に加速度的に増加する大量データの長期アーカイブ用途として需要が高まっています。

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耐久性・長期保存性
社団法人電子情報技術産業委員会(=JEITA)が行ったLTO7メディアの寿命推定検証により、通常の保管環境であれば50年以上の保存性が結論付けされています。

また、耐久性は、100万パスと言われています。LTOテープにフル容量のデータを100回以上読み書きを行っても問題がなかったこと、 テープの同一箇所を40,000回走行させても問題なく読み込みできることが確認されています。
そして、テープを20,000回ドライブに装填しても機構に異常が発生しないことも確認されています。

このように、テープは耐久性・長期保存性でも優れているので、長期保管が必要なコールドデータを効率的にアーカイブすることができます。

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